TIMO SARPANEVA TAIDETTA LAISISTA(GLASS ART)
Exhibition at the Finnish Glass Museum 29.5-31.12.2015
Kaj Franck(カイ・フランク 1911-1989)、Tapio Wirkkala(タビオ・ヴィルッカラ 1915-1985)の次の世代としてフィンランドのグラスデザイン界に颯爽と登場したTimo Sarpaneva(ティモ・サルパネヴァ1926-2006)。
1940〜48年Taideteollisuuskeskuskoulussa(the Central School of Industrial Art)のグラフィック部門に学び、卒業後リーヒマキグラスデザインコンペティションに参加。準優勝となり、このコンペ参加を契機としてグラスデザインを進路と決め1951年IITTALA glassworksに入社。以降、デザイナー、アートディレクターとして、フィンランド現代アートの世界を切り開いてきた。
1953年、内部に気泡空洞を作る蒸気吹き込み製法を用いたフラワーベースORKIDEA 3868(オルキデア-蘭)、1954年、レッドクリスタルのカットによるKAJAKKI 3867(カヤック)を発表。同年のミラノ・トリエンナーレでは、タビオ・ヴィルッカラ、カイ・フランクらの作品とともにグランプリを受賞。
1955年、スウェーデン、ヘルシンボリで開催された国際デザイン展覧会「H-55」に出品。作品群は、その美しさが賞賛された。
1956年以降、アートピースを中心に発表してきたサルパネヴァだが、日常使いのプロダクトにも挑んだ。ROUND BIRD BOTTLESを含む、I-LINJAN(the I LINE SERIES)がそれで、1957年のミラノトリエンナーレで2回目のグランプリを獲得、世界的に注目を浴びた。
サルパネヴァは、自作コレクション用に「i」のロゴもデザインしたが、そのマークは、以後IITTALA社のブランドとして展開されることになった。
1960年代に入ると、エレガントで繊細なスタイルの作風は一変し、氷のような表情をもつFINLANDIA(フィンランディア)シリーズを考案。炭化した木型にガラスを吹き込む技法による荒い肌をしたもので、それまでの滑らかなガラスデザインとは異なる美意識によるものであった。以後1980年代に入ると、さらに作家性を強め、光を纏う鋭利さと液体のような瑞々しさを備えたガラス彫刻造形の世界へと発展していく。
本書は、サルパネヴァ作品を中心にフィンランドグラスアートの変遷を体系的にまとめたものである。また、巻末には、 フィンランドの実業家 Kyösti Kakkonen – キョスティ・カッコネンのコレクションを中心に作品カタログも掲載している。