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【used】トイニ・ムオナの本
本書は、フィンランドの陶芸家の Toini Muona(トイニ・ムオナ1904 - 1987)の評伝であり、年代とともに氏の作風の変遷を見て取ることができる。初期はキュビズムの影響を受けた作風の陶器であったが、次第に流麗でアシンメトリーなフォルムの陶磁器へ移行。轆轤も習熟し、様々な燃焼法と釉薬の調合を研究し、40年代には、細長く曲線を描く花瓶や大皿を作成。人体に見られる曲線や自然造形の色彩からインスパイアされ作品制作を行ったという。 1948年には枝葉をモチーフとしたデコレーションを開発し、この技法はタイルなどに使用され人気となった。同時代、ともにアラビア製陶所で働いたKaj Franck(カイ・フランク1911-1989)も以下のように論評したという。“no one could express the organically growing line, that flexible ascent of form, with more sensitivity than Toini Muona”
本書でとりわけ印象的なのは、氏が1940〜60年代にかけて継続的に制作された鮮やかな銅紅釉、深い青銅釉の器類であり、見る者を圧倒する。
著者は、ヘルシンキ大学で美術・デザイン史を研究するHarri Kalha氏。本書の他、フィンランドデザイン、陶芸作家評伝等著書も多数。
ちなみに陶芸家Toini Muona(トイニ・ムオナ)は、1923〜1926年、Taideteollisuuskeskuskouluun(Central Shool of Arts and Crafts)モデルデッサン部門に在籍し、1926〜31年の間、同校附属の陶芸スタジオに所属し、イギリス由来のアーツアンドクラフツ運動への意識の高いベルキー人画家・陶芸家Alfred William Finchの元で学んだ。
1931年、アラビア製陶所入社、初期はデコレーターとしての採用だったが、1932年、ヘルシンキのMuseum of Applied Artsで最初の個展を開催。個展は好評を博しAlfred Kordelin Säätiöより助成金得て、フランス、イタリアへ研究旅行の機会に恵まれる。以来、海外への研究旅行は、1937年と戦後の1949年、1950〜60年代、イギリス、スペイン、アメリカ、アジア方面に出掛けては作陶技法の研究を重ねた。
1933年、アート・ディレクターKurt Ekholm(クルト・エクホルム1928‐1931)等によって設立されたアラビア製陶所美術部門のアーティストになり、1970年に引退するまでアラビア社に在籍する。受賞歴は多数。
言語|フィンランド語
作|Harri Kalha
作品|Toini Muona
サイズ|280×220×16mm
製本|ハードカバー
ページ|136
発行|1998
出版|Kustannus W. Hagelstam
ISBN|9525125114
※本品は北欧の一般家庭で親しまれてきた輸入中古本です。個々の状態にもよりますが経年劣化による破損、変色などがある場合がございます。詳しくは下記をご参考ください。
【商品の状態】
カバー ★★★★☆☆☆
:背表紙にやや日焼けがあります。その他、少々の擦れなどの経年劣化があります。
中面 ★★★★★☆☆
:少々の経年劣化がありますが、概ね良好な状態です。